三次元の振動が体験できる振動実験台

ここでは2004年度まで理事を務められた木内基容子さん(八王子市役所)のレポートを掲載させていただきます。なお研究誌第8号には内原英貴さん(東京都立大工学部建築学科)の写真付きの報告を掲載しています。併せてご覧ください。

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2005年8月29日(土)、午後2~5時に行われた研究会に参加しました。八王子市石川町にある都市再生機構の都市住宅技術研究所の見学会です。
参加者は30人程度だったでしょうか?まず、施設のパンフレットと自由に飲める冷たい麦茶が用意された本館の会議室へ。吉川筆頭理事、細野会長の短い挨拶のあと、研究所チーフリーダー白石さんから研究所について簡単な説明を受け、10分程度のVTRを見てから、2班に分かれて施設を見学しました。
案内してくださった職員の説明はとても簡潔でわかりやすく、専門知識も豊富なようで、質問にも的確に答えてくださり、非常に充実した見学会になりました。

ごく簡単に見学の内容を紹介します。
この研究所には非公開施設も含め16の施設があり、そのうちの5施設に案内していただきました。

①「KSI住宅実験棟」
K:機構(元は公団)、S:スケルトン、I:インフィルの略。100年以上の耐久性を持つ枠組・共用部分と変更自在の住居専有部分を組み合わせることで従来のように3,40年で取り壊し建て直すのではなく、住戸の規模や間取りを変更しながら長く使える集合住宅を実用化するために、試行実験、研究等を行っているとのこと。

②ビオトープ・「すまいと環境館」
透水性・保水性舗装、池・原っぱ・雑木林を人工的に再現したビオトープを見学。ビオトープの池を造った当初に放した2匹の魚が5年後には200匹以上になっていたとか。虫や鳥も生息できる環境が、さまざまな技術を駆使して造られていました。さらに、館内では透水性舗装と普通の舗装の違いを再現するミニチュア模型で実際に雨を降らせて、下水管への雨水の流入状況を見せていただきました。

③「振動実験棟」
今日のメインは何といってもここ! 起振車では横揺れしか体験できませんが、ここでは縦方向も加えた三次元振動台による地震体験ができます。実際、03年十勝沖、95年阪神淡路、04年中越の三つのタイプの異なる地震を、観測データを解析して再現していて、私達も体験させていただきました。特に中越地震は強烈で、座って両手でしっかり手すりをつかみ、さらに両足をスチ-ル柱にかけて体制を整え、実験開始のアナウンスを聞き、心の準備がしっかりできているにも関わらず、「うそだろ~」をいうものすごさ。あんなものに不意に襲われたら、無事でいられる方が奇跡的ですね。
机の下に潜るとか、ガスの元栓を締めるとか、ドアを空けて出口を確保するとか、まず、無理。とにかく伏せるしかないでしょう。木造家屋などつぶれて当然というものすごい揺れでした。これは是非体験してみるべきだと思いました。

④「集合住宅歴史館」
同潤会代官山アパート、昭和30年代の代表的な公団住宅の部屋が再現されており、いくつかの部屋に実際に入って見ました。私個人的には、多摩平団地のテラスハウスに大感動。何故って、6歳まで住んでいた三鷹市新川公団の我が家とほとんど同一の間取り・内装。懐かしかった!

⑤「住居性能館」
いくつかある実験室のうち、ユニバーサルデザイン実験室を見学。工夫されたコックピット型キッチンや体の不自由度に合わせてフレキシブルにスペース変更ができる「楽隠居」というユニットを見学しました。

最後にまた会議室に戻り、質疑応答。質問は尽きなかったのですが、休日にもかかわらずご出勤いただき特別に施設を見せていただいているということで、5時には対応していただいた研究所職員の皆様への感謝の拍手でお開きに。実に中身の濃い、あっという間の3時間でした。ニュータウン住民や集合住宅に住んでいる方、関心をお持ちの方には、宝の山のようなすごく面白い施設です。

毎年秋には全施設を一般公開するそうですので、今回参加できなかった方は、是非行ってみてはいかがでしょうか?とにかく、非常に有意義な研究会だったと思います。企画していただいた理事の皆様、ありがとうございました。

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