本年度の活動計画全体を貫くコンセプトが「資料保存プロジェクト」となること、それには①資料の収集・保存②証言録の収集③イベントを通じた研究・広報活動―の3つの柱があることを(1)で説明しました。次に、本学会としてどんな体制で取り組んでいくのか、説明したいと思います。

<体制づくり>
資料保存の取り組みは複数年度にまたがる大きなプロジェクトとなることから、ニュータウン学会内に部会を設け、部会で具体的な議論や作業に取り組むことにします。正式な部会立ち上げまでは、理事らで構成するワーキンググループで議論を進め、今後準備が整い次第、部会メンバーを一般会員からも随時募集します。現在、ワーキンググループは西浦、中庭、松本の研究企画担当の3理事が中心となり、理事メンバーのほか、会員の成瀬惠宏さんに参加していただき活動のたたき台づくりを急いでいます。また、パルテノン多摩の金子淳さん(本会会員)、多摩市立図書館の阿部明美さんにも助言をいただいています。
一方、中央大の「政策文化総合研究所」に、多摩ニュータウンの資料保存とデータベース化の手順や方向性の確立を目的とした新規研究テーマとして「多摩ニュータウン開発史料の発掘とアーカイブ作成に向けた枠組みの構築」を申請し、このほど認められました。研究費として年間80万円、3年間計240万円が確保されます。責任者は本学会会長の細野中大教授で、ニュータウン学会から吉川前筆頭理事、松原評議員、3人の研究企画担当理事、成瀬会員、篠原の計7人が「客員研究員」という立場で参加します(今後「中大の研究会」と呼びます)。
これにより、ニュータウン学会が実施する資料保存プロジェクト関連の活動のうち、中大研究会の目的に合致した活動(聞き取り調査の試行、データベースのフレームワーク作成と入力試行、研究集会・シンポジウムの開催など)については、中大研究費を充てることができるようになりました。活動の成果は中大に対しては報告書としてまとめ、ニュータウン学会に対しては研究誌に研究報告として掲載する予定です。
今後は中大だけでなく多摩に立地する各大学などの研究・教育機関、行政や独立行政法人などそれぞれが資料保存の取り組みを進めることが期待されます。多摩ニュータウン学会はそうした各団体の相互連携を図る役割を担っているわけですが、中大はその最初の名乗りを挙げた団体として連携を進めることにしたものです。
また、ニュータウン学会会員の広い人脈などを生かすため、学会主催の活動にこだわらず、今後は他団体の活動やイベントに対しても、適宜、共催や後援などの形で連携を深める方針です。

<有識者への諮問>
責任を持って資料保存プロジェクトを進めるためには、国土開発や東京都、地元の事情に詳しい有識者の助言が必要だと考えます。また有識者の助言を得て適切に活動していることをアピールすることで、広く世間から信頼を得ることも可能になります。人選は早急に進めますが、有識者を一堂に集めた会議を開くのがいいか、それとも有識者に個別に相談する方がいいかは、今後検討の上、決定します。

(次は学会としての具体的な取り組み計画を説明します)